2023/10/03

分からなかった、脊柱管狭窄症の「内視鏡手術」がこんなに進んでいたとは

この8月、腰部の脊柱管狭窄症とヘルニアの内視鏡手術を受けた。
その結果、アッケラカンと腰の痛みは消え、
間欠跛行(カンケツハコウ)という症状も消え去った。
手術の翌日から(恐る恐るだが)歩き始め、
間もなく2カ月が経過する今は、もう普通に歩ける。
執刀医には「そろそろテニスを始めたり、自転車の輪行も始めてよいよ」と言われ、
6年間不自由を感じていた散歩も気楽に楽しめるようになった。

入院は4泊5日

実は入院する直前に、ユニット型特養に入っている老母が体調を崩した。
迷った、迷った。
入院中に危篤になり親の死に目に会えないことになるかもしれない。
しかし治療しないと歩くことが極めて困難で悲惨な喪主になる。
入院した。
翌日に手術し、幸いなことに入院から5泊の予定が4泊で退院できた。

とその夕刻、母危篤の連絡が入った。
電車とタクシーを使って駆けつけると・・・、間に合った。
1時間後に、103歳の母は静かに息を引き取った。
会話はできないものの、握った手の強さでわずかに意思表示できた。
死亡診断書は”老衰”。大往生というやつだ。
というわけで、退院のその日から慌ただしい葬儀の仕切り役に相成った。
鉄人28号のような動きだったが、自分でも驚くほど身体は動いた。
結局、足先のシビレは残ったままだが、このほかの症状は消え去った。

もっと早く手術に踏み切ればよかった

こんなことなら、もっと早く手術に踏み切ればよかった。
6年前に発症してから、町医者1軒、市立大学附属の総合病院1軒、テレビで名医と紹介された町医者ダッシュ1軒、市立の整形外科専門病院1軒を巡った。
当初から手術をするなら内視鏡と思っていたが、
どの医者に聞いても、手術を受けて回復する過程を思い描くことはできなかった。
いよいよこれでは来年の冬はまったく歩けなくなると思った今年になるまで、
手術に踏み切ることはできなかった。

これが脊柱管の中を通る神経を圧迫していた。「これの10倍以上はとったよ」(執刀医)とのこと。

大病院の整形外科医の多くは「内視鏡手術のことは知りません」とのたまわる

50歳も過ぎると、多くの友人や同僚が腰痛を訴え始める。
自分も59歳のときに椎間板ヘルニアを患ったが、なんとかこれは自分で直した。
ところが63歳になって、寒くなってきた年の暮れ、
しばらく歩くと、腰の下から足裏にかけて背面側がしびれる。
立ち止まって前屈するとスッと治るが、しばらく歩くと再び同じ症状が。
「なんだこれは?!」と思いながら町の整形外科に行くと、
「それは脊柱管狭窄症の典型的な症状。間欠跛行という」と言われた。
以来6年、このまま歩くことができなくなったらとゾッとしながら、
上記のようにいくつかの病院を渡り歩いた。が、ラチは明かなかった。
私が訪ねた大病院では、いずれも
「ウチは内視鏡手術はやっていません」(従来型の切開手術だけだという意味)。
従来型と内視鏡手術の得失点も教えてくれない。
「内視鏡手術のことは知りません」と言い切る。
どうやら、ほとんどの大病院は内視鏡手術はやらず、
内視鏡手術をするのは比較的新しい小中規模の病院のようだ。
それにしても医者たるものが「知りません」とは・・・。

外科医は内視鏡手術を認めない??

ちなみに、私は別の部位でも内視鏡手術を受けたことがある。
大腸癌の内視鏡手術だ。
癌が発見され、内視鏡検査の画像からはかなり進行していると判断された。
そのため、従来型の開腹手術で腸をバッサリ切断除去することになった。
担当医は消化器系の外科部門の医師だった。
おそらく癌細胞が腸壁を超えてリンパにまで達しているので、
リンパもごっそり除去するとのことだった。
ところが手術予定の1週間前に電話がかかってきた。
外科部門と内科部門の手術予定患者に対するカンファレンスで、
開腹手術ではなく内視鏡手術に切り替えることになったと言う。
そこで消化器系の内科部門の医師から
リンパにまで達しているという検査結果が出ていないので、
まずは内視鏡で除去すべきだと発言があり、それが採用されたという。

幸いなことに、内視鏡手術を受け、
術後に癌がリンパにまで達しているかを調べたところ、
大腸内の粘膜層に留まっていたという結果だった。
大手術を覚悟したが、3日程度の入院ですぐに社会復帰することができた。
ラッキーな体験だった。

これに比べて、整形外科の世界では、
すでに述べたように従来型と内視鏡型の医師の間に深い溝がある。
大病院の整形外科医に大腸癌での経験を話し、
整形外科でも類似の体制が取れないか聞いたことがある。
つまり従来型と内視鏡型と担当セクションが違ってもよいけれど、
病院の中でどちらの方法がよいか議論する場を設けて、
得失点を検討してベッターな方法を採るような体制はとれないのかと聞いた。
「そういう時代が整形外科にもやってくる可能性はあるかもしれない。
でも、少なくともそれまでに数十年かかる」という答えだった。
残念というほかない。
整形外科にはもっと言いたいことがあるが、このくらいにしておこう。

私が内視鏡手術を受けたのは、品川駅にほど近い
稲波脊椎・関節病院」である。
何人もの執刀医がそろい、システマティックに内視鏡手術をこなしている。







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